「落ちてないですねえ」「本当だねえ」―もういいんだ、もう懲りたの。本当にもういいの。私は300グラムしか落ちていなかった体重計に乗ったまま、はははと笑っていた。残りの回数はまだ18回も残っている。だからあと何回まで無駄なのに通い続けられるのか分からないけれど、もう落ちなくても焦りはしない。「そうそう、またね、新しいのが入るのよ」Fさんは私のカルテとドリンクを持って待合室まで来ると、手をぺこりと折り、くりくりした口で私を見た。「今のコースで満足していますから、もう追加は一切しません!」私はきっぱりと言い切ると、彼女の大きな目をじっと見たまま視線を逸らさなかった。「あっ、そおお?」きょとんとした顔をして、Fさんは私を見ていた。これが言えるまで、どのくらいの借金をつくったのだろう。もう本当にそれでよかった。痩せたい気持ちは全く変わらなかったが、無駄な施術を続けてこれ以上自分を惨めにしたくなかった。私はそのあと、カルテに張られた自分の写真を見ながら涙ぐんでいた。家に帰る途中でコンビニに寄り、私は食べ物を買い込んだ。すでに電車の中で衝動が襲いはじめていた。まだ9時だというのに、車内はべろんべろんに酔ったサラリーマンばかりで、ただえさえ混んでいるというのに、酒臭い息が首にはかかるし、揺れるたびに寄りかかられて、私は発狂しそうだった。キッチンの床にぺたりと座り、私はコンビニの袋を目の前に置いた。そしてカロリーメイトを取り出し、ぱくぱくと食べた。次にポテトチップスを頬張り、それから贈り物用で売っていたカステラを1本丸ごと食べ、そのあとは食パンを1斤とソルトクラッカーを30枚食べ、最後におにぎりを7個とヨーグルトを4つ食べた。それから下剤を20錠飲み下して、やっと服を着替えた。一回の暴食で2キロは増えたに違いない。あれだけ食べたのだから増えているのは分かっているのに、体重計に乗った。やはり想像していたとおり、2キロ太っていた。施術後の2時間は、飲食は禁じられているのに、もうそれすらも守れなくなったのだ。しかし暴食が止まらなくなってしまったら、もう何をやっても無駄だということを、自分自身が一番よく知っていた。―もうエステやめる。もうやめるよ。私は自分にそう言い聞かせていた。この数か月は何だったんだろうと思う。痩せたくて痩せたくて……痩せたかったこと以外には何も思いつかない。きっとこういう人は、某エステサロンのような悪質サロンのいいカモなのだと思う。「痩せる」「刺激に慣れる」「もとに戻る」……。この繰り返しの中で、「もとには戻らない」という言葉は一向に出てこない。だから私の過食と一緒で、エンドレスなループなのである。エステ開始から施術22回目を終えた日、私はコースが終わったら某エステサロンを卒業することを決心した。
[参考サイト]
エステサロンPMK新宿店
PMKエステサロン立川店
大宮のエステティックサロンPMK