アメリカには「太っている人が飼っている犬は太っている」ということわざがありますが、日本でも同じような光景を見かけます。高カロリー食に慣れてしまった家庭では、ペットの食事まで高カロリーになりがちです。そしてそれは、ペットだけに限りません。親子が似たような体形であるということはとても微笑ましいことですが、それと肥満は別問題です。スリムだったお母さんが太ってしまうと、子供も必然的に太ってしまうというのは、子供にとっては悲劇としかいいようがありません。ご自身の健康管理はもちろんですが、母親である以上、お子さんの健康管理にも気を配ってあげたいものです。子供の肥満は、遺伝だけの問題ではなく、普段の生活環境がつくっているのだということを忘れないでください。さらに、ここでは食欲のメカニズムについても少しご説明しておきたいと思います。食欲をコントロールしているのは脳だということは、みなさんもご存じのことと思いますが、もっと厳密にいえば、脳の底にある視床下部にあるアペスタットと呼ばれる部分でコントロールしています。アペスタットには“食べたい”という要求をつかさどる『給食中枢』と、“もう十分に食べた”という食欲抑制の作用を持つ『満腹中枢』のふたつの役割がありますが、このふたつのバランスが崩れてしまうことで、食べても食べても『満腹中枢』からストップ指令が届かなくなるという異常事態が生じてしまうのです。早食いなどがダイエットには良くないと言われるのは、この『満腹中枢』に刺激がいかなくなるからです。人間は胃壁が伸び、血糖値が上がると自然に「もうお腹いっぱいだな」と思うものですが、早食いの人の場合は、口の中で味わうこともなく飲み込んでしまうので、「食べた」という満足感が希薄になり、何か物足りなさにとらわれたりするのです。したがってそのようにどんどん食べ物を詰め込んでしまうと、満腹感を感じたときにはすでに「食べ過ぎ」の状態になってしまっているのです。早食い、ムラ食い、間食、食べ過ぎ、食事のアンバランス、etc.……。これらはすべて、肥満になる要素です。少しきつい言い方かもしれませんが、太るには太るだけの理由があることを自覚するのも大切なことなのです。