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いつの時代も天才揃い

以前グレーと白のチェックウール地で、ジャケットを頼んだことがあります。衿と袖口にグレーのフェイクファーをあしらってもらうことにしたのですが、仮縫いに行くと、スカートもできているではありませんか。「生地が余ったので、膝上丈のミニスカートを作ったわよ。ジャケットの裾に合わせてカーブをつけた前スリットにしたから。さ、はいてみて」ギクッ、ミニスカート?しかも、前スリット?それにしても、ジャケット分の生地だったのに、スカートまで作ってしまうとは。「あ、それからね。フェイクファーはやめたから。ファーつきにすると真冬しか着られないでしよ。レザーふうの布地を買っておいたからね」と、すっかりカロリーナのファンタジーア世界に突入。私はフェイクファーがよかったんだけどな。ミニスカートだって、はいたりしないから作る必要なかったのに……。ところがこの服、大好評もいいところ。モデルに難ありはしかたないとして、身につけるたびにおほめの言葉をいただいています。仕立て代のほうも、約8000円。フェイクレザーに裏地、ボタンつきのお値段です。いくらなんでも申しわけない。色をつけ、1万円だしました。でもマエストラーカロリーナは、頑として受け取りません。すったもんだしていると、末っ子の息子ジャコモ(8歳)が大笑い。「ケンカしてら」もちろん、1万円、受け取ってもらいました、喧嘩腰で。残念なことに、カロリーナは現在、ほとんど仕立て仕事をしていません。上の娘ふたりが働きはじめ、家事一切をきりもりしなければならなくなったからです。料理や掃除も絶対手抜きをしない彼女なので、サルタの仕事に集中するのは無理。ズボンの裾の上げ下ろしを中心に、ごく簡単なリフォーム作業のみとなってしまいました。なんとも残念!あんなにいい腕をもっているのに。町内の女性たちも皆同じ意見でした。それにしても、カロリーナの裁縫技術は驚異的。なんと、型紙なしで作ってしまうのです。布に簡単な印をつけ、いきなりジョキジョキとカット。最初目にしたときは、心臓も止まらんほどのショックでした。ミスをしたらどうするのだろう、思ったとおりのデザインに仕上がるのだろうか、と。しかしカロリーナは言います。「型紙?そんなのいらない。あるとかえってダサくなっちゃうからね。いつだって型紙なしダーヴィンチの国の人たちは、いつの時代も天才揃いのようです。